オメガ7脂肪酸(パルミトレイン酸)とは何か？

オメガ３脂肪酸、オメガ6脂肪酸、オメガ9脂肪酸は良く耳にしますが、オメガ7脂肪酸はあまりなじみがありません。

オメガ7脂肪酸とは不飽和脂肪酸の一種です。具体的にはパルミトレイン酸、バクセン酸及びマルガロレイン酸などのことです。

パルミトレイン酸は最も一般的なオメガ7脂肪酸で卵、サケ、アンチョビ、イワシ、マカダミアナッツ、オリーブオイルとタラ肝油に含まれています。

また、オメガ7脂肪酸は人間の肝臓および脂肪組織でも合成されます。

そのため食物からの摂取が必要なDHAやEPAのような体内で合成されない必須脂肪酸に比べて重要視されてきませんでした。

研究によるとパルミトレイン酸は、インスリン感受性、脂質代謝および炎症に有効です。

パルミトレイン酸の体内におけるの役割についての研究はまだ少ないのが実情です。

しかし、平均年齢が45歳の男女60人についての研究があります。

30日間毎日220mgのパルミトレイン酸を含有するカプセルを摂取したところ、プラセボに比較して有意にCRP（体内の炎症の指標）、トリグリセリドおよびLDLコレステロールのレベルの低下が見られました。(それぞれ、44%、15%、8%低下しました。)

さらに、HDLコレステロールの有意な増加も見られました。(Bernstein, J Clin Lipid 2014)

パルミトレイン酸とDHAやEPAを一緒に摂取するとより効果的かどうかの研究はまだありません。

パルミトレイン酸は、飽和脂肪酸のパルミチン酸と混同してはいけません。

バルミチン酸はわずかに LDL / HDLコレステトールの値を増加させる等まだ未評価な段階です。

パルミトレイン酸の精製された製品にブランド名でプロビナール(Provinal)があります。

プロビナールのサプリメント

プロビナールはアンチョビから抽出され、50%のパルミトレイン酸を含んでいます。

多くの市場に出回っているオメガ7脂肪酸の製品には、このプロビナールが含まれています。。

興味深いことに、いくつかの魚や魚油サプリメントはパルミトレイン酸を含有しています。

しかし、ラベルに書かれていない場合が多いようです。

一部の製品には、臨床研究で使用される量に相当する220mgを含む製品があります。

一般的には、魚油から高濃度にEPA / DHAを抽出するとオメガ7脂肪酸の濃度は低くなるようです。

実際２つのブランドの高濃度EPA/DHA製品を調査したところほとんどオメガ7脂肪酸は含まれていませんでした。

一方、EPAとDHAの適度な濃度のいくつかの魚油またはオキアミ油製品には同程度のオメガ7脂肪酸が含まれており、ほとんどはバルミトレイン酸でした。

例えば、ネイチャーメイド社のバープレス・フィッシュオイルはパルミトレイン酸を156mg含んでいます。この量は臨床研究で使用される量に相当します。

同様に21センチュリー社の魚油サプリメントにもバルミトレイン酸が143mg含まれていました。

しかし、藻油から作られた製品はほとんどオメガ7脂肪酸が含まれていない事に注意してください。藻油とは藻に含まれている油を抽出した製品でDHAやスクワレン等が含まれています。

また、シーバックソーン油もパルミトレイン酸を多く含んでいます。果実から抽出されたパルミトレイン酸を30%から40%が含まれています。

シーバックソーンとはユーラシア大陸の中・北部に広く自生する低木で別名、シーベリー、チャチャルガン、サジーとも呼ばれています。

また、シーバックソーン油は 30%から40％のパルミチン酸油、ならびにリノール酸（オメガ6脂肪酸）、リノレン酸（オメガ3脂肪酸）、オレイン酸、ステアリン酸、ビタミンC、ビタミンE、葉酸、β-カロチン、リコピンとゼアキサンチン、およびケルセチンとケンフェロールなどのフラボノイドを含んでいます。

233人の健康な男女を対象に感染症や炎症に対するシーバックソーンの効果を調べた大規模な研究があります。

3ヶ月間毎日冷凍した果実や種子を含むシーバックソーンピューレを1オンス(約30g)摂取しました。

風邪をひきにくくなったとか、回復までの時間が短くなったとかの効果はありませんでしたが、プラセボと比較して有意にCRP(炎症に関する指標)は減少しました。（Larmo、EurJ CLIN 2008）

他のより小さな臨床研究では、平均年齢35歳の健康な男性に8週間、毎日300mlのシーバックソーンジュースを飲んでもらいました。

血小板凝集、総コレステロール、LDLコレステロール、トリグリセリド値は有意には低下しませんでした。（Eccleston J NUTR BIOCHEM 2002）

【結論】