イギリスのThe British Medical Journalル2013年7月27日付けで公開されたメタアナリシスです。
海洋性オメガ3多価不飽和脂肪酸の乳癌リスク低下に対するエビデンスが追加されました。
オメガ3脂肪酸とはエイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)と魚油に含まれているドコサペンタエン酸(DPA)、および植物に含まれているα-リノレン酸(ALA)等のことです。
これらの多価不飽和脂肪酸はガンや心血管トラブルのリスクを低下させるとされていますが、標準的な西洋の食事にはあまり含まれていません。
今回の分析は中国の杭州からの報告です。研究者は、米国、欧州、アジアから883585人の女性の中で20905件の乳がんの事例の内26のレポートを選択しました。
11件の研究は、魚の摂取と乳癌リスクとの関連を検討し、17の研究は海洋性オメガ3脂肪酸と乳がんのリスク、12件の評価ではALAとの関連、10件の研究では、総オメガ3脂肪酸の摂取と疾患の危険性との関連性を分析しました。
その結果、海洋性オメガ3脂肪酸を多く摂取していた人は最も低かった人に比べ、乳がんのリスクが14%少なかったことがわかりました。
このリスクは、食事摂取量として測定された場合も組織マーカーとして測定された場合も同様でした。
研究者らは、海洋性オメガ3脂肪酸の摂取を100ミリグラム増量した場合、乳癌のリスクがを5%低下したと判断しました。有意な関連は魚やALAでは見つかりませんでした。
データのさらなる分析では閉経後の女性に対する保護効果は有意的にあったが、閉経していない女性に対してはそうではありませんでした。
また海洋性オメガ3脂肪酸の抗癌メカニズムは細胞増殖のシグナル伝達に関与する因子の調節やプログラムされた細胞死の関与を含んでいます。
さらに、この脂肪酸は、エストロゲン受容体陽性悪性腫瘍の成長を刺激するエストロゲンの産生を減少させることができるという証拠もあります。
*海洋性オメガ3脂肪酸とは海洋哺乳類(鯨やあざらし等) に含まれる脂肪酸です*